公準(postulate)と公理(axiom):文庫版1のp68、69∵(開く)
公準とは単に証明なしで認めることにした記述をいう。
公準は
与えられるのである。公準は
論議なしで受け入れられるものである。
昔の幾何の本では、公準を公理といい、その必要もないのに「公理とは自明の真理である」とつけ加えている場合もあった。
(「公理」という語には「真理」という形而上学的観念がまつわりついている。「数学は・・」では一貫して「公準」という用語を用いている。)
(ユークリッド「原論」では公理と公準を使い分けている。
このページによれば
「自明として受け入れられる性質を公理(axioms) または共通概念 (common notions)とよび,要請あるいは仮定されるべき性質を公準(postulate)とよんでいる.」)
類(class)あるいは集合(set):文庫版1のp78∵(開く)
我々は類を定義せず、とにかくある類(これを $C$ とおく)とあるもの( $i$ とおく)が与えられたとき、
$i$ が $C$ の構成要素であるか否かを直感的に認識できると仮定する。
もし $i$ が $C$ の構成要素ならば、$i$ は $C$ に属するという。
環(ring):文庫版1のp133∵(開く)
次の条件を満たす二つの演算”加法”$+$ および”乗法”$\times$ ($a\times b$ を $ab$ と書く)に関して、閉じている
集合 $S$ を環という。
これらの二つの演算は、$S$ の元 $ a, b, c, \cdots , z, \cdots$ からとった任意の二つの元に対して、$S$ の元をただ一つ定める。
またこれらは次の公準を満たす。
$(1-1)$ $S$ のあらゆる元 $a, b$ に対して $a+b=b+a$。
$(1-2)$ $a+z=a$ を満たす $S$ の元 $z$ が存在する。この元は一つしかない。
$(1-3)$ $S$ の各元 $a$ に対して、$a+(-a)=z$ となる $S$ の元 $-a$(これを $a$ の負元という)がただ一つ存在する。
$(1-4)$ $S$ のあらゆる元 $a, b, c$ に対して
$a(b+c)=ab+ac$、 $(b+c)a=ba+ca$。 (加法に関する乗法の分配法則(distributive law))
(注 この環の定義では「結合法則(associativity law)」が仮定されていない。)
可換環(commutative ring):文庫版1のp134∵(開く)
以下の公準を満たす
環。
環 $S$ のあらゆる元 $a, b$ に対して $ab=ba$。
単位元をもつ環(unitary ring):文庫版1のp134∵(開く)
以下の公準を満たす
環。
環 $S$の任意の元 $a$ に対し $ea=ae=a$ となる $S$ の元 $e$ が存在する。
($e$ をこの環の単位あるいは単位元(unity)という。混同の恐れがない場合には $1$ と書くこともある)。
二項関係(binary relation):文庫版1のp135 ∵(開く)
ある関係(これを $\sim$ と書く)が、与えられた
類 $K$ の元 $ a, b, c, \cdots, x, \cdots$ に関して二項関係であるとは、
$a\sim b$(” $a$ は $b$ に対して等価である”と読もう)の”真”、”偽”を $K$ のどの元 $a,b$ についても確定できることをいう。